導入事例

Case Study

#3 アルページュ様
「ライブからリアル店舗へ。好循環を生み出す配信の秘訣とは?」

アルページュ本社にて。左から金子さん、野口さん

snsforce導入企業に聞く「ライブコマースのいまのカタチ」。第3回は、『Apuweiser-riche 』『Arpege story』などの女性向けアパレルブランドを展開する株式会社アルページュです。6つのブランド全てでインスタライブを行い、DMによるクーポン配布では使用率2桁を記録し、1店舗だけで1日の売り上げが100万円を超えたこともあるそう。どのような体制でライブ配信を行い、インスタライブでは何を大切にしているのか。また、今後目指す新しいショップの形などについて、詳しくお聞きしました。

〈インタビュー〉

野口英男 様

株式会社アルページュ
専務執行役員

金子真弓 様

株式会社アルページュ
EC事業部 チーフ営業

6ブランドで週1~3回のライブ配信を実施。
4店舗リレーなどの工夫も

アルページュでは、ライブ配信をいつから開始したのでしょうか。

野口弊社がライブ配信をスタートさせたのは、コロナ禍の前からです。そこから本格的に注力し、配信回数を増やし始めたのは、2020年2月のことでした。その頃、国内でも新型コロナウイルスの感染拡大が顕著になっていました。外出制限によって店舗を閉めざるをえなくなった状況を想定し、お客様をECサイトに誘導したいと考えたのです。

ライブ配信を始めたきっかけについて語る野口さん

ライブ配信を始めた当初から、インスタライブを活用していたのですか?

金子当時ライブ配信で主に活用していたのはECサイト併設型のライブコマース機能でした。でも、この方法はいろいろと課題も多くて……パソコンや一眼レフカメラの準備だけで1時間以上かかりますし、それだけの手間をかけても、サイトへの導線をうまく引けないと、視聴者数は伸びませんでした。結果として、ライブコマースを目的としていなかったインスタライブのほうが、より多くの視聴者を獲得できているという状況でした。

サイト型のライブコマースは課題が多かったという金子さん

野口加えて、ECサイト併設型のライブコマースや、ツールを導入しないインスタライブでは、お客様に対して購買行動を促す施策が取りづらいことも悩みの種になっていました。弊社はもともと、女性向けファッションブランド『Arpege story(アルページュ ストーリー)』をはじめとして、O2O(Online to Offline)やOMO(Online Merges with Offline)で広く展開していくことを考えていましたので、ECサイトとリアル店舗をつなぐ良い施策やツールがあれば導入したいと、当時から常に検討していたんです。

金子そのような中で出会ったのが、インスタライブ専用の分析システムとDMシステムを兼ね備えたsnsforceでした。

snsforceを導入してから、現在はどのようにライブ配信を行っているのでしょうか。

野口弊社の6つのブランドでそれぞれsnsforceを導入し、インスタライブを行っています。各ブランドで毎週のようにコンテンツやニュースが出るため、配信頻度は週3~5回。インスタライブに出演するのは、本社の企画部やEC事業部のスタッフ、全国の各店舗にいる一部スタッフです。地域限定商品が出るときは、その地域の店舗で配信を行えるスタッフが商品紹介のライブ配信を行っています。全体の8割程度は、各店舗からの発信です。

金子実は今日も、『CADUNE』というブランドで全国4店舗からのリレー配信を行ったんですよ。

それはおもしろいですね。具体的に、どのように配信されたのですか?

金子『CADUNE』で出す新しい商品の地域限定カラーを、東京、名古屋、大阪、福岡の4店舗から紹介しました。各店舗30分の持ち時間で商品紹介を行い、リレー形式で次の店舗につないでいくんです。興味を持っていただけた方の来店を促せるよう、配信時間は朝を選びました。

なるほど。貴社のインスタライブの内容は、そのような商品紹介がメインになるのでしょうか。

金子そうですね。配信内容としては、新商品の紹介がメインです。スタイリストやモデルとのコラボ商品が出る際は、ブランドの新規ファン獲得も目的として据えながら、その方にゲストとして登場していただくこともあります。とはいえ、スペシャルゲストを招くのは半期に2~3回で、3月、5月、9月、11月、あとクリスマスに行うことが多いです。

かなりハイペースで配信されていますが、配信内容の企画はどれくらい前から検討されているのでしょう。

野口ECサイトのコンテンツスケジュールに準じているので、通常の企画であれば3カ月前から、大きめの企画であれば半年前から内容が決定しています。配信を担当するメンバーは直前に決まることが多いのですが、配信内容の企画自体はかなり先のスケジュールまで確定させています。企画案は各店舗から上がってくることも多くて、今日の4店舗リレーも店舗スタッフから提案のあった企画です。

インスタライブ視聴者に限定クーポンを配布。
使用率は2桁を超え、O2Oを実現

ちなみに、snsforceでは、データの可視化、過去のコメントログの蓄積、視聴者へのフォローDMの送付といった機能をうたっています。アルページュでは、特にどの機能を活用されていますか?

金子導入の決め手の一つとなったDM送付機能を、インスタライブ視聴へのインセンティブとしてよく活用しています。お客様に、商品詳細に加えて視聴者限定のクーポンを配信しているんです。

クーポンの使用率は、いかがですか?

金子クリスマスの時期に配布した期間限定クーポンは、10%の使用率でした。ほかの施策で配布したクーポンは使用率が1桁なので、インスタライブのDMは、より行動喚起につながりやすいと感じます。さらに、新宿店のリニューアルを記念した、新宿店のみで使える1日限定クーポンでは、13%の使用率を記録しました。その日の売上は100万円を超え、そのほとんどが、インスタライブを見てくださったお客様だったんです。このような圧倒的な結果が出るとは予想もしていなかったため、私たちとしても驚きました。

金子さんは予想外の反響に驚いたという

まさに、貴社の考えているO2Oをインスタライブで実現できた形ですね。

野口そうですね。アフターコロナを見据えて、インスタライブのクーポン配布をO2O施策の一環として試すことができて良かったと思います。このような良い実績をつくることができましたし、ライブ配信で購入したい商品をあらかじめ決めて来店してくださったインスタライブ視聴者をリアル店舗で接客することで、さらに追加の商品購入を促す効果も見込めることが分かりました。オンラインとリアルのコミュニケーションを組み合わせた、お客様と私たちの双方が幸せになる形での新しい販売方法を見出せたように思います。

スタッフの個性を生かした配信で、
ブランド愛の深いファン形成を

ところで、インスタライブの視聴者数は、平均してどれくらいの規模があるのでしょうか。

野口視聴者数は徐々に増えています。インスタライブの開始当初は20~30名程度でしたが、最近では多い時で500名、平均しても200~250名程度の視聴者数を獲得できるようになってきました。配信に期待してくださる方が増えていることを、実感しています。

多い時には500名、常時でも250名前後の視聴者数を獲得しているとは、すごいですね。CPAがどんどんと頭打ちになっていく時代の中で、アルページュはデジタルツールの使い方が本当にうまいと感じます。特に、自社スタッフを中心として配信を行っている点は、企業における理想的なライブ配信のあり方です。インフルエンサーを使って視聴者数を伸ばすことは簡単ですが、ライフタイムバリューの長い顧客形成を行うには、いかに自社リソースで配信を行えるかが鍵になりますから。

自社リソースによる継続的な配信がライブコマースの成功の鍵

野口お褒めいただき、ありがとうございます。おっしゃる通りで、弊社は基本的には自社スタッフで配信できるよう意識しています。お客様をいかに飽きさせないか。さまざまなコンテンツがあふれる中で、いかにアルページュのインスタライブに価値を感じていただけるか。このあたりは、日頃から強く意識して配信内容を企画していますね。

そのような配信を行っていると、自社スタッフにファンがつくこともあるのでは?

金子そうなんです。実際、すでに各店舗で配信を担当してくれているスタッフにファンがつき始めていて、わざわざ店舗に会いに来てくださるお客様も増えました。夏休みなどの長期休暇には、憧れのスタッフに会うべく、遠方から首都圏の店舗行脚をしてくださる方もいらっしゃるんですよ。そのような方を見るにつけ、インスタライブでブランド愛の深いファン形成に成功しているなと実感しています。

それはすごい! 1990年代の「カリスマ店員」を彷彿とさせますね。インスタライブ中、スタッフにファンが生まれるような工夫は何かされていますか?

金子そのスタッフの個性が出るようなトークや、ライブ感が生まれるようなコミュニケーションを意識するようにしています。例えば、Aというスタッフがいたとして、「Aさんならどういうコーディネートをしますか?」と視聴者が気になるであろう質問を“天の声”から投げかけたり、お客様からいただいたコメント一つ一つに、なるべく丁寧にお返事したりすることは、心がけています。

配信中にコメントへの対応も行っているのですね。ライブ配信終了後、snsforceのコメントログ機能は使用されていますか?

金子ログ機能も、お客様の声を知るために活用しています。例えば、先日はインスタライブの中でアンケートを行って、お客様に回答をコメントしていただき、それを後から集計する形でログ機能を使用しました。どのサイズにどれだけのお客様がいるのか、お客様が今欲しいアイテムは何なのかを、よりリアルな声を通じて把握することができます。ログ機能をもとに収集した声は、次の商品企画に生かしていきたいです。snsforceは次々と新しい機能が増えていますから、それらの機能も勉強しながら、新しいライブ配信のやり方を今後もどんどん試していくつもりです。

配信専用スタジオ併設ショップで、
新たな購入体験を創出したい

今後、snsforceに付けてほしい機能などはありますか?

金子製品タグやお客様のコメント内のキーワードに応じて、送付するDMの種類を変えることができたらありがたいです。例えば、「ワンピース可愛い、欲しい」といったコメントを入れてくださった方には、おすすめのワンピースをご提案するDMが届くといった、よりカスタマイズ性の高いDMの送り方ができると、お客様との距離感を縮めやすくなるように思います。DMの効果がより高まるかなと。

「キーワードに応じてDMを自動送信可能な新機能をぜひ使ってみたい」と金子さん

ご要望をありがとうございます!実は最近、金子さんが希望されているような機能を新しくリリースしたところなんですよ。インスタライブ中、あらかじめ指定したキーワードにヒットするようなコメントを行った視聴者に対して、自動でフォローDMを送ることができるようになりました。クーポンはもちろん、ECサイトのURLもより確度の高いお客様にダイレクトに届けられます。

金子それはすごいですね!ライブ中に自動でDMを送れるのも、とてもありがたい機能ですね。ぜひ使ってみたいです。

ありがとうございます。新しくTwitterDM送信機能も追加しており、snsforceでできることがグッと広がったので、また後日改めて使い方などレクチャーさせてください!

金子ありがとうございます!心強いです!

では、本日のインタビューの最後として、ライブ配信を通じて実現したいことなど、今後の目標を教えてください。

野口コロナ禍を経て、社会の中でもライブ配信は少しずつ当たり前の手法となりつつあります。そのような中で、弊社としてはこれまでの実績をもとに、オンラインとリアルのコミュニケーションをつなぐ新しいショップ形態に挑戦したいと考えています。というのも、現在のショップでは、開店前か閉店後にしかライブ配信ができません。新しいショップでは、日中にもライブ配信が行えるよう専用スタジオを併設し、2023年の秋口にはオープンさせたいと考えています。このショップが完成すれば、例えばスペシャルゲストをお招きしてライブ配信を行った後、リアル店舗でゲストとコミュニケーションを取りながら買い物をしていただくなど、新たなコミュニケーションと購入体験の創出が可能だと考えています。

野口さんは「オンラインとリアルを融合させたい」と意欲的

それはおもしろいですね!ライブ配信をうまく活用されているアルページュだからこそ、できる取り組みだと感じました。今日はさまざまなお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

取材・文 市岡光子
撮影・編集 いからしひろき

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